あなたは戦争を許せますか

--神奈川県座間市中学生の声--

2003.6.20 226−2003.7.20 227


  中学生の反戦運動を報じた新聞 


 ※ここに紹介するのは、編集部に届けられた神奈川県座間市の中学生たちの反戦の思いを綴った小冊子からのごく一部の抜粋です。文責は編集部にあります。


 イラク戦争の開戦(二〇〇三年三月二〇日)が間近に迫ったある日。

 某中学校の生徒である私達は歴史の授業で、第二次世界大戦の頃について、学んでいた。

 先生が見せてくれた、『死者が語る戦争』という、戦死者の写真集には、胸の痛む程の信じられないような様々な傷跡や、死体があった。

 同じ仲間である人間のそんな姿、いくら写真とはいえ、私達は見ていられなかった。
 とても悲しくなった。

 そんな無残な事が、今また始まろうとしているなんて・・・。

 どうにかしたかった。無力さを感じるなかで、どうにか戦争が始まらないように、たとえ始まってしまっても、出来る限り戦争が早く終わるように、二度と戦争が起こらないように。
 そして、私達は考え、行動にした。

 それが、この署名(意見書)運動である。

 私達は、呼びかけを行なう為のビラと、意見書を書いてもらう為の用紙を即座に用意した。

 そして、三月一八日(火)。私達はついに、この運動を始めた。

 ここには、中学生の戦争に対する様々な思いがつづられている。

 「言いたい事は山ほどあるのに、言葉に出来ない」ともどかしさに戸惑う人も多くいた。

 けれど、誰もが皆、戦争に対してしっかりと向き合い、思うままに紙に託した。

 適当に考えている中学生は居ない。

 それを、大人たちにわかって欲しい。

 それを、出来るだけ多くの人々に、共に生きている仲間にわかって欲しい。

 私達は無力かもしれない。だけど、信じたい。

 私達の思いが、あなたの胸に届く事を祈って。

 開戦前(3月18日〜)

 「何故アメリカに協力して戦争を賛成するのでしょう。日本は、『もう戦争はしない』と宣言したのに、何故武力行使を賛成してしまったのでしょう。」
 「この問題を解決するには、世界中の協力と絆が、とても深く関わっていると僕は考えます。だから今、戦争をしている場合じゃないと思います。」(3年男子)

 「『どんな事があったって、人を傷つけてはいけない』こんな事、幼い頃からわかっていたはずです。当たり前の事が当たり前でなくなる世界・・・。私はお菓子を食べながら、TVを見て笑っている自分に、『世界が今、こんなに大きな問題に直面しているのに、私はこんな事をしていて良いのだろうか・・・』ふとそう感じました。」
 「何故、殺人をした人は犯罪として、罰を与えられるのに、戦争の中で人を殺すと、ヒーローになるのでしょう。絶対におかしいです!」
 「私達の声を聞いて下さい。明日が輝く事はなくても、私達はできる限り早く、この戦争が終わるのを願い続けます。」(3年女子)

 「今、アメリカの大統領やイギリスの首相、それぞれの国々のリーダー達が、戦争をしようと言っています。ですが、その国の人々、国民はほとんどが戦争に反対です。リーダー達はもう少し、国民の意見に耳を傾けるべきだと思います。」
 「昔の戦争で、独裁者は武力で何でも進めました。しかし、最後は平和を願った人々が勝ったのです。昔の戦争で、武力で推し進めても意味がないという事を、人々は学んできたはずだったと思います。」
 「人々は、過去の失敗を繰り返さぬよう、現代の社会に生かし、今のこの状況を打開していくべきです。」(2年女子)

 「今まで地球上で行なわれてきた戦争は凄く悲しく、虚しいものだったはずです。国と国との争いごとで、何十万人、何百万人という被害者をうみ、今もそのせいで苦しんでいるひとたちがたくさん居るのです。その事を、世界は忘れてしまったのでしょうか?どうして反戦の声を聞こうとしないのでしょうか?何故、醜い争い事をしようとしているのでしょう?平和を願う民衆の気持ちを少しでも知って欲しいです。」(2年女子)

 「それぞれの国には、それぞれの文化があるから、国と国の接し方は様々で形はたくさんある。何か伝えたい事があっても、すんなり伝わるには、それぞれの文化の違いなどを、お互いに理解する必要があると思う。それを理解せずに無理やり伝えようとして、同時多発テロが起きてしまったのだろう。でもあれは間違った行為だ。」
 「まずは話し合いだ。たとえ言葉は違くても通じるものならあるはずだ。言葉で解決出来なくても、戦争という無意味で心や身体を傷つける事は絶対にして欲しくない。」(3年女子)

 「もう二度と戦争が起こらないよう、世界が平和であるように、まずは、一人一人がちゃんと自分の考えを持つ事が大切だと思います。そして、みんなで考え、行動しましょう。世界が平和でありますように。」(3年女子)

 「私は何故戦争をしなければならないのか、疑問に思います。」
 「何故、戦争なんてそんな残酷な事があるのかがわかりません。人を殺しあって勝っても全然嬉しくないし、世界が壊れていくだけだから、逆に悲しいです。とにかく、何が何でも戦争は絶対にダメです。」(2年女子)

 開戦後(3月20日〜)

 「今世界中で反戦運動が起こっている。これは、この地球に生きる仲間への愛があるからではないのだろうか。この運動について、戦争を行なっている側は、何も思わないのか?見逃す事など出来ないほど、とても多くの団体や個人が、それぞれの規模で、それぞれの方法で行なっている。それでも戦争を始めてしまうなんて・・・。」
 「私達はまだ、13〜15年程度しか生きていない。だから、戦争を知らない。全く。幼い頃、湾岸戦争があったが、私の記憶には残っていない。戦争に直面した事のない私達は、授業やTV・本などから戦争の悲惨さを学んできた。実際に戦争を体験してきた人々には申し訳ない位の知識である事は確かだ。だけど、私達はこうした戦争に反対している。何故、戦争を知っている大人たちが戦争を始めるのか。人殺しをたたえるのか。間違っている事を間違っていると言えないのか?私には全てが納得いかない。」
 「みんなで力を合わせましょう。今、この瞬間から。この紙を書いた、私達の学校の仲間だけではなく、ここに住む仲間で、地球で生きる仲間で、力を合わせて。力を合わせて、戦争を止めましょう。そして、『戦争』をこの世から消しましょう。出来る限りの事を諦めずに行い続け、少しでも早く、被害が拡大しないよう願いながら、戦争を終わらせる為、運動を行ないましょう。」(3年女子)

 「戦争という武力を使うきっかけとなってしまったのは、イラクのせいじゃない。武力を使おうとするアメリカを、みんな(他国)が止めなかった。地球に生きる仲間を見捨てた。同じ人間なのに、仲間なのに、見捨てた。最低だと思う」(3年女子)

 「人を殺しておいて、自分の身内が死んだらキレるなんて、矛盾ではないのか。僕はおろかしいと思う。武力行使に踏み出したなら、それを覚悟しておくべきではなかったのだろうか。国という大規模な団体をまとめる人は、いつだって自分の意見を一番だと思ってはいけない。みんなの意見に耳を傾け、多くの意見を受け入れて、それからみんなと考え一つにしぼっていく。そんなの常識だ。小学生にだって出来ている。それなのに何故、アメリカはそれをしなかった?誰も認めない戦争を、何故独断で始めた?」(2年男子)

 「戦争なんてしたって、何にもならないのに、どうして武力行使を選んだのか。本当に選ばざるを得なかったのか。僕は今、国連や各国の首相やら大統領やらが、許せない。世界や自国を平和にする為に居るくせに、何をやっているのだろう。それに気づかせる為にも、僕たちはもっと反戦運動を拡大させていくべきだと思う」(2年男子)

 「アメリカは、9月にテロで多くの人々が苦しみ、悲しみ、一生心に残る出来事を体験したのに、なんで同じ苦しみを与えようとするのだろう。もっと反対意見を世界中で言うべきだ。絶対思いは届くと思う」(3年女子)

 「今、戦いに参加している兵士にも、何か同情してしまいます。家族や恋人、友達など、多くの愛する人との別れを、上から強いられなければならない。悲しすぎる。ただの仕返しのし合いで、また新たに多くの被害者を出している。どんどん規模を広げる戦に、日ごと減りゆく命の数。何とかそれを食い止めたい」(2年女子)

 「前略、戦争を率先して行っている方々、国民へ少しでも愛があるのなら、私達の声に関心を持って下さい。私達は戦争なんて望んでいません。戦争の背景にある、様々な憎しみや怒り、悲痛の叫びを、教科書を通して感じました。しかし現実はきっと、想像できないくらい残酷なものだったと思います。それがまた始まろうとしているのに、黙ってみている訳にはいきません。日本人はたったの50年で戦争を忘れてしまってのでしょうか?あの悲劇を、忘れてしまったのですか?」(3年女子)

 「イラク国民の為にイラク国民を殺す。なんてばかげた事でしょう。何か矛盾していないでしょうか」(3年女子)

 「『攻撃を開始する』という事を決める、国の先頭に立つ人は、多くの期間、そこにたずさわる人たちから、守られているけど、その人の一言や考えに巻き込まれる国民は、戦争によって命を落としたり、大切なものや人を失ったりしてしまいます。たくさんの国で、多くの人が戦争反対と声をそろえているのに、どうして戦争は止まらないのでしょう」(2年女子)

 「戦争を行っているアメリカは、今、傷付く人々の大切な未来を全く無視していると思います。戦争に笑顔はありません。たとえ勝った国の人だとしても、笑わないでしょう。笑わないと言うより、笑い方を忘れてしまうような戦争の怖さがあります。人間の根本的な大切な何かを奪われそうで怖いです。そんな戦争、誰が望んでいますか?」(3年女子)

 「今まで戦争について、深く考えていませんでした。でも今、生まれて初めて戦争に直面して、やっぱりやめた方が良いと思いました。戦争を選択したアメリカや、それを止めなかった周りの国は、もっとよく考えた方が良かったと思います。ただでさえ、同時多発テロの悲しみがおさまったとは言えないのに、もっと悲しみを増やさないで」(2年女子)

 「世界は、同時多発テロの頃からだんだんバラバラになってきている。あの時、ちゃんとまとまるべきだったのに。あの時、遺族の悲しみを分け合おうと、数多くの国の、数多くの人達が自分なりに行動した。その人たちは決して『仕返しした方が良い』なんて思っていなかったはずだ。1人の命を奪う事は、同時に、その周りに居た、数え切れない人々の心を奪うことになる。気付いて欲しい」(2年女子)

 「日本は戦争をやらないと言うような事を言っていたのに、何故『アメリカを助ける』ようなことをするのですか?そこで助けるような事をしなければ良かったのではないのですか?戦争なんてしなくても解決の方法はあったはずです」(3年男子)

 「世界が今こんなに大変な中、私は普通に学校に行けています。だから少し私には余裕があります。そんな私たちが戦争を止めないで誰が止めるのでしょう。私達が頑張らないで、誰が頑張るのでしょう。こうする事しか出来なくても、それでも精一杯やれることをする事が、今、私達が出来る一番の事なのかもしれない」(3年女子)

 「春を迎え、私達は進級した。新1年生は、わくわくしながら我校に入学してきた。そんな中で、多くの人々の命が儚く消えていっていた。このたった1ケ月にも満たない時間の中で、奪われていったのだ」
 「人の命はそんなに適当に扱って良いものなのか?人間がそんな風に生きる事を願って死んでいった人なんて、絶対にいないだろう」(3年女子)


紹介した中学生の反戦の声について、感想や意見を寄せてください。
宛て先は E-mail:nnagata@violin.ocn.ne.jp

  トップページへ